Column

パステルを描いてきた記録

昨日でパステルを描き始めて18日目になった。およそ2週間を少し過ぎたあたりだけれど、少しづつ上手くなっているのを感じている。日々の作品に課題感を感じつつも、今できる最善のものを描き上げていく作業だ。この2週間でかなり劇的に絵が変化した。少し思い出しながら経緯をまとめてみようと思う。

描き始める

Day1

1枚目を描き始めた時、硬いパステルを使って描いた。紙も文庫本サイズでとても目が荒い。ガサガサしている紙だったのでパステルの粉がうまくのらずに苦労した。最初から神社にしたのはかなりのチャレンジだった。というのも今ならわかるがパステルで建物を描くのはとても難しいのだ。パステルは風景画に向いている(と思う)。

Day2
Day3

2枚目はソフトパステルを使って風景を描くことにした。この頃は持っているパステルの数もまだ少なくて、繊細な色がでない。線も割と雑に描いている。3枚目で優しく指でパステルを擦る技を覚える。

重ね塗りをして失敗

最初
重ね塗りした後

4枚目は思い出に残る作品。まず綺麗な青のソフトパステルを購入したので、それで霧の中の景色を描く。今まで紙の目が出てくるくらい荒かったので一度完成させてから、改めて描き足して失敗した作品だ。あまり景色は一面的ではないことを学んだ。

Day5

次の6枚目で空の青さのちょっとした違いに目がいくようになる。ただずっと紙の目が荒いことが書きづらさの原因になっていたので、B5くらいの画用紙を新しく買う。

紙を大きくする

Day6

紙のサイズが大きくなって、ソフトパステルを指で伸ばせるようになった。ソフトパステルは色を少しなら重ねられることに気づき、空の青を描いてから白で雲を上から描き足していく手法に気がつく。もしかしたら前の霧の絵で少し気がついていたかもしれないけれど、意識的になったのは紙が大きくなったこの頃だ。

この絵を皮切りに2年前にいた時に撮ったヨーロッパの写真を元に絵を描くようになる。

Day7

リトアニア の「三本の十字架の丘」を描いたときは建物の難しさを知る。鉛筆で細かく線をかいてみたが輪郭をしっかりと線で描くと「絵」という印象が強くなってしまう。雲の描き方がだんだんとうまくなる。

Day8

ケルナヴェ遺跡を描くときは、一面の豊かな緑をどのように描けば良いかわからなくて緑が平面的になった。この頃は緑のパステルが3本くらいしかなかったので、色が足りなかったとも言える。パステルは色が増えれば増えるほど描ける幅が広がる。

Day9

リトアニアの海沿いの町クライペダの海。空と海の描き方が掴めてくる。目に見えるものをそのまま描くというよりも、少し大雑把に色を足せるようになった。

光の描き方が少しづつ変化

次のリトアニアの森は大きな変化の一つだった。この絵で木漏れ日の白がうまくいった。これは白の細いソフトパステルで上から足したもので、こういう描き方ができるのかと驚いた。光が少しづつ表現できるようになってきた。

Day10

森は木の集合体

Day11

リトアニアにあるドルスキニンカイの湖も大きな変化が起きた一枚だ。今まで森の書き方で悩んでいたのだが、森は「一本一本の木」からなっていることに気がついた。

これは一見当たり前なことで何を言っているんだと思う人もいるかもしれない。しかしこれは大きな変化である。
自分が世界をどのように認識しているかが、絵を描くことで再編された瞬間だ。自分の目が変化するという驚くべき事態だ。

後は森の影を黒で塗りつぶしてメリハリが効くようになった。

逆光:リトアニア

Day12

そして一気に写真のように描けたのがリトアニアの逆光の一枚。ちょうど12枚目か。ここでかなりパステルの描き方が掴めてきた。雲の描き方、木々の描き方。

そして自然そのものを描きたいなら写真でも良いわけで、自分の目を通した景色を表現すれば良いということにも意識が向く。

湖:スウェーデン

次の二枚はスウェーデンの湖。このうちの一枚は大学時代の友人が購入したいと申し出てくれた。初めて自分の絵が売れるという経験は感動的だった。人の手に渡ると我が子が旅立っていくような、ドナドナの気分だった。

Day13
Day14

夕焼け:リトアニア

Day15

またリトアニアの逆光。今度は夕日。逆光は黒なので割と描きやすいのかもしれない。木々の先の細かさを出すために細いパステルが欲しくなる頃。

建物・雪・枯れた木:リトアニア

Day16

トラカイ城を描いたときは、題材選びに失敗したと後悔した。建物・枯れた枝だけの木・雪の三拍子で難しかった。3時間くらいかけて描いたけど建物や雪の表現はまだまだだと気がついた。

実はこの日に本屋さんで抽象画家の画集を見ていた。今まで抽象画の絵はなんとなく綺麗としか思っていなかったけれど、いざ自分がパステルで絵を描くようになってからその凄さに気がついた。今まで何を見ていたのだろうという気持ち。その中で人を描いたものや、ロンドンの街並みを描いたパステル絵があり、自分はまだまだだと改めて感じていたのだ。だから難しいトラカイ城にチャレンジしてみたが、やはり難しかった。

夕焼けと湖:スウェーデン

Day17

夕日のオレンジを買って、日没の逆光と湖面に映る木々を描いた。これは割とうまくいった。

海:青森

次はいきなり日本の青森、浅虫温泉街の近くの海。近景がまだまだだけど、遠景はだいぶ描けるようになったと思う。

Day18

ということでパステルを描いて2週間ほどだが、どんなふうに感じてきたか、絵を描いてきたかをまとめてみた。見直してみるとかなり絵の描き方が変わったし、何より自然の風景の見方が変化した。今では街を歩いていると、ふと目に止まった景色をどうパステルで表現するか考えたりする。日常の切り取り方が変化してし、それにより毎日の生活自体が楽しくなった気がする。また何よりも自分の絵が1日前の自分よりうまく描けたときの達成感がある。これが楽しいから毎日描いているのだ。