日々のこと

「身の周りのものについて② 万年筆(その2)」

万年筆の話をしよう。LAMYの万年筆は実は何本か持っている。なぜなら太さが違うからだ。EF(極細)、F(細)、M(中)の三つのサイズがあって、それぞれ使ってみた。結局Fがちょうど良かったので、ずっとFを使っている。

書き心地は自分で文房具屋さんとかで試してみるといい。銀座の伊東屋は様々な万年筆が試せるのでおすすめだ。

LAMYは基本的にカートリッジ式で、インクが空になったらまた新しい使い捨てカートリッジをいれるシステムだ。これはとても手軽でボールペンみたいに使うことができる。だが、そうするとLAMYのインクしか使えない。

LAMYに限らず万年筆のカートリッジはいまだに色が少ないが、インク瓶ならばバリエーションがたくさんある。大きめの文房具屋さんで自分の好きな色のインクを選ぶのはとても楽しいものだ。私はLAMYのカートリッジではない繊細な紺色が使いたいな、と思ってSAILORのBLUE BLACKという色を購入した。このインクを購入したのにも訳がある。

私はノートをとったり、メモを取るのが好きな人間なのでよくLAMYのカートリッジで文字を書いていた。ある日カバンにノートを入れて外を歩いていたのだが、急に雨が強く降り出しカバンと共に中身もずぶ濡れになってしまった。もちろんノートもだ。急いでドライヤーで乾かしたものの、万年筆で書いた部分はだいぶ滲んで読めなくなってしまった。

この時まで万年筆のインクが滲むなんて知らなかった。万年筆のインクはちゃんとしているから、水に濡れても大丈夫という思い込みがあった。そこでいろいろ調べてみて、水に濡れても滲まないと有名だったのがこのSAILOR社のインクだったのだ。

*この文章を書いている途中で気になって自分のノートの1ページを水で濡らしてみた。そしたら少しインクは滲むものの、元の字はかなりはっきりと読めた。すごい!SAILOR!

LAMYのカートリッジのは文字が読めなくなるくらい滲んでしまったので、インク選びは大事だと思った。

文章が残るというのはとても大事な気がしていて、10年後とかにも見直せる方がいい。だからLAMYのインクが水で滲んでしまうのは嫌だし、フリクションは3、4年で消えてしまったので嫌だ。もっと長持ちするインクがいい。そんなにノートを見返さないけど、いまだにリトアニア留学時代の日記とかを見直すと新鮮な気持ちになる。どうせ書くなら消えないものがいい。

ということで、次にSAILORのBLUE BLACKをLAMYで使うために、コンバーターというものを購入した。これは、インク壺からインクを吸い取り、描けるようにするもの。自分の好きなインクでカートリッジを作れる。しかも何度でも使えるから、エコだ。

これはアマゾンでも600円くらいで買える。自分で好きなメーカーのインクを吸い上げて使うことができるので、おすすめだ。なので3年前からずっと吸引式。様々な青色が使えるのがいい。

ちなみに青色ばかり使うのは、受験時代に青色のインクが記憶の定着にいい、と書いてある本を読んだからに由来する。効果の程はわからないけど。あと青色が単純に好きなのもある。

万年筆のいいところはサラサラかけることだ。これはシャーペンやボールペンの比ではない。圧倒的に早いし、書き心地がいい。紙のうえをなぞるように自在にかける。それで万年筆で書いているうちに一つ気がついたことがある。それは万年筆を使って日本語を書くなら絶対に縦書きがいいということだ。

英語を書くなら横書きがいい。英語は筆記体というものがあって、アルファベットの一文字一文字をつなげて書くことが出来る簡略版がある。筆記体を使うことで文章は滑らかに、そして早く書くことが出来る。

日本語は横書きだと続けて書くことが難しいが、縦書きなら「連綿」と呼ばれている2文字以上をつなげて書くことが出来る。日本の古い巻物とかを美術館でみたことがないだろうか。書道の「草書」「行書」もしくは「仮名」で書かれているものは連綿で書くことが出来る。昔の人の手紙とかも連綿を使って簡略化されて書かれている。

これを今でもやればいいのだ。万年筆で縦書きで書くと「連綿」することが出来るので、かなりスムーズに書くことが出来る。これは横書きではできない。もともと高校時代は書道部にいて、仮名や草書を学んでいたのでこの発想に至った。今や僕らの日常がら縦書きは消えつつある。手紙を書く時か、あとはそれこそ書道をするときくらいしかないのではないだろうか。契約書とかウェブの記事も全部横書きだ。でもおそらく僕らは縦書きのが慣れている。ずっとそうだったのだから。

僕は縦書きにするようになってから、圧倒的に書く速度が上がったし、何よりもストレスがない。鉛筆ではなく万年筆だとさらに早い。いつから日本人の日常から縦書きが減ってしまったのだろうか。

ということで今回はお気に入りの万年筆について色々と思うところを書いてみた。シャーペンやボールペンもいいが、やはり万年筆が一番いいと思う。敷居が高いと思われるかもしれないが、今では1500円ほどのものが文房具屋さんでも売っているので、是非一度試してもらいただきたい、いい経験になるはずだ。

(2020/08/21のメモをもとに作成)