THINKING LIFE

本を読まない読書術:ショウペンハウエル「読書について」

f:id:skafuka:20181126001319p:plain

本を読めない事は自分がダメな証明ではない

皆さんは今度こそは本を読むぞ、って決意しては、結局読めないことはありませんか?
僕はよくあります。
 
自分が読もうと思っても、結局そんなに本は読めないものなのです。
で、読めないとなんか罪悪感を感じますよね。
 
ああ、今回も本読めなかったなぁ、って。
 
でも読書ってそんなにやらなきゃいけないことなのでしょか?
読むことは無条件にいいことでしょうか?
 
「多読礼賛」に異を唱えた人が19世紀にいました。
ショウペンハウエルです。
彼は『読書について(他二編)』の中で読書について持論を展開しています。
 
今回は彼の主張の中から3つ抜き出し、
僕らが「どのように本を読むべきか」を考えてみたいと思います。
読書について 他二篇 (岩波文庫)

読書について 他二篇 (岩波文庫)

 

 

 
結論としては
・多読しないこと。自分で考え抜かない読書に意味はない。
・「書籍哲学者」にはなるな。自分の経験からの思索にこそ意味がある。
・読まずに済ます技術。悪書を読んでる暇はない。
以上3点です。詳しくみていきましょう。
 

多読しないこと。自分で考え抜かない読書に意味はない。

読書は、他人にものを考えてもらうことである
読書することは、自分の頭を他人の運動場にしているだけに過ぎない、とショウペンハウエルは言っています。
 
暇さえあれば読書をする人は一見勤勉に見えます。
 
しかし、本を読んでいるだけでは自分で考えるということを忘れてしまうのです。
 
例えば食べ過ぎると消化不良を起こしますよね。おなかいっぱい食べた後は胸が苦しい、なんか頭が働かない。
あれと同じです。
 
食べ物は消化されることによって我々の血肉となるように、
思索も深く考えられることによって私たちのものになります。
 
多読は精神から弾力性をことごとく奪い去る
先ほどの食べ物の例で言えば、食べ過ぎることでちゃんと消化できず、我々のエネルギーにならなくなる。それが多読です。
 
インドの古代からの知恵、アーユルヴェーダでは食べ過ぎは禁止されています。
そこでは、食べ物の消化について焚き火の例が上がっています。
 
焚き火は風が入る空間がないとちゃんと燃えて大きな火になりません。
 
それと同様に食べ物も食べ過ぎると十分に消化し、エネルギーを作ることはできないのです。
 

「書籍哲学者」にはなるな。自分の経験からの思索にこそ意味がある。

自ら思索する者は自説をまず立て、後に初めてそれを保証する他人の権威ある説を学び、自説の強化に役立てるに過ぎない。ところが「書籍哲学者」は他人の権威ある説から出発し、他人の諸説を本の中から読み拾って1つの体系を作る。
 
僕はまさしくこれでした。本を読むことがいいことだと思い、ただ読みまくる。
 
本を集めては読もうとして、結局読めずに、また本を読むことでその後悔を埋める。
そんな日々を20年くらい繰り返してきました。
 
「読書は他人の思考」であるとするなら、私はずっと他人の思考を借り続けてきたことになります。
 
そして、それはとてもラクな道なのです。なぜなら自分が考えなくてもいいから。
 
では、どうすれば「自分の思索」を取り戻せるでしょうか?
本を読むことは決して悪いことではありません。
 
現に、ショウペンハウエルも本書の中で、
普通の時間は読書に当てるのが得策である
と言っています。
 
他人の思考が自分に流れ込み過ぎて、自分の思索が失われるような多読をしてはならないと言っているのです。
 
では、どのように本を読めばいいか。
 
彼は「読まずに済ます技術」が非常に重要だと言います。

読まずに済ます技術。悪書を読んでる暇はない。

読書に際しての心がけとは、読まずに済ます技術が非常に重要である。その術とは、多数の読者がその都度むさぼり読むものに、我遅れじとばかり、手を出さないことである
端的に言えば、「流行りの本ばかり読まないこと」です。
人は新しい最新の本ばかりに手を出します。流行りの本、本屋でベストセラーの本。
 
しかし、最新の本やベストセラーは数年経てばあまり手に取られないようなものです。そのような一瞬しか流行らない本ではなく、時代を超えたような良書を読まなければならないと言います。
 
時代を超えたような良書こそ、真に私たちを育て、悪書は精神に破滅をもたらす、と。
 
かなり痛烈な批判です。一方で、我々が学ぶべきことも多くあるでしょう。
 

まとめ

改めて、ポイントは3つです。
・多読しないこと。自分で考え抜かない読書に意味はない。
・「書籍哲学者」にはなるな。自分の経験からの思索にこそ意味がある。
・読まずに済ます技術。悪書を読んでる暇はない。
 
ショウペンハウエルが200年ほど前に書いたこの本の内容は、現在に生きる私たちにも重要な意見だと思います。
 
最後に彼の言葉を引用します。
良書を読むための条件は、悪書を読まぬことである。人生は短く、時間と力には限りがあるからである。 
 

 少しでも興味を持った方は、こちらの本を読んでみてください。

今回あげた3点以外にも非常に多くの面白い事柄がたくさん書いてあります。

読書について 他二篇 (岩波文庫)

読書について 他二篇 (岩波文庫)