イベントレポート

2023/01/29:松葉舎備忘録

2023/01/29:松葉舎備忘録

2023年1月29日。東京の寒波が少し和らいできたように感じる朝に1月第2回目のレッスン。

最初はざっくばらんに各々が気になっていることを話し合う。最近高騰している物価について、SNSで話題になった池戸氏と成田氏の議論についてなど各々の所感を話し合う。そもそもMMTってなんだったっけという話を色々としたけれど、これは難しかったのでそんなに纏めないでおこうと思う。

雑誌の力を見直す:少し遅くて少し早い情報の接種

次に雑誌について。SNS全盛の時代に新聞や雑誌、紙の本を手に取る機会も少なくなった方も多いのではないだろうか。大体のニュースはスマホでSNSを見ていれば入ってくる。しかし流れてくる情報は断片的で、実は網羅性や体系性があったり、比較検討されたりしてる訳ではない。かといって書籍ではリアルタイムの速度に追いつかない。雑誌の役割はそこにあるという。1ヶ月ほどスパンで発行される雑誌には少し寝かせられた熟成期間と、その間に考えられ、検討比較されたリアルタイムの情報がまとめられる。SNSと本の間にある少し早くて、少し遅い情報のあり方の大事さを改めて感じた。

ウクライナ問題を考える:この大きな問題の歴史的、構造的背景とは

さて来月からは新たなテーマがやってくる。ウクライナ問題だ。一般的にプーチン大統領に此度の戦争の責任があると考えられるわけだが、その背景には「何が彼をそうさせたのか」という歴史的、構造的な問題が隠れている可能性がある。そしてその上で日本はこれからどうしていけばいいのか、という疑問も生じてくる。

今回は『ウクライナ戦争』という小泉悠氏の著書を参考に、2021年春にロシアが行った「演習」という名目でのウクライナ国境への軍配備から、ミンスク合意を破って侵略が始まるまでの流れと、その要因(未確定部分あり)について学んだ。要因としてはバイデン政権の成立、ゼレンシキーによるウクライナ国内親露派(メドヴェチェーク)への弾圧、そしてロシア内部での大規模デモをプーチンがバイデンの工作と解釈した可能性などが挙げられる。また2022年に開戦した際にロシアは電撃作戦で首都制圧を目指したが、想像以上のウクライナ側の抵抗や西洋諸国の支援などによってそれは失敗し、その後ウクライナ東部制圧に目標を移したあと事態が硬直していることなども知った。戦況があまりロシアに不利に傾くとプーチンが「最終手段」をとる可能性があるため、ウクライナが「勝てもしないが負けもしない」程度の支援しかできない構造が戦争を長引かせている。毎日目にするウクライナのニュースだが、その流れを知る機会は思いの外少ない。

『独裁体制から民主主義へ』:リトアニア独立に影響した人物の思想とは

話は変わって私もミニ発表をしたのでその話をしておこう。『独裁体制から民主主義へ』という100分で名著のテキストを紹介。リトアニアの独立に関係のあるジーン・シャープ氏ということで手に取った。余談になるが私はリトアニアに1年間交換留学していたのだが、独立運動について学ぶ機会がなかったので、改めて勉強したいと思ったのだ。

当該書籍の内容で気になる部分はまず「非暴力」を武器として、革命を目指すところだ。一般的に革命というとフランス革命のようなものをイメージする。しかしシャープ氏はガンディーの研究を通して非暴力によって革命を成功させる具体的な方法にまで言及している。書籍の後半で明らかになるのだが、どうやら非暴力革命の方が成功率が高いらしい。

また革命というと大仰なもので、僕ら一般人には関係ないと思われるかもしれない。でも非暴力の運動においては、僕ら一人ひとりの小さな行動にこそ大きな意味がある。この本についてはまた時間があるときにまとめておきたいと思う。

最後に「民主主義」の検討が話題に上がった。本の中でもシャープ氏はアメリカ式の民主主義を導入するようなことが書かれている。しかし彼の没後5年ほど経った今、アメリカ式の民主主義を導入すればそれでいいのかは再検討の余地があるのではないだろうか。具体的には現状の民主主義の形にそのまま両手で賛成していいのかということだ。

果たして民主主義は今のままでいいのか、多数決は正しいのか、新しい意思決定方法はないのか、この辺りは継続して考えて行きたい領域である。以上備忘録的なまとめ。