イベントレポート

はなのみち 第3回 「ジューンブライド 白と緑」【レポート】

だんだんと雨が多くなり、梅雨の季節が来たと実感する6月。赤阪氷川神社で開催される第3回はなのみちは「ジューンブライド 白と緑」がテーマでした。

塚田有一 

ガーデンプランナー/フラワーアーティスト/グリーンディレクター

立教大学経営学部卒業。草月流家元アトリエ、株式会社イデーFLOWERS@IDEEを経て独立。ランドスケープから個人邸の作庭、舞台装飾、花活け、オフィスのgreeningなど植物による空間編集を数多く手がける。

赤坂氷川神社「はなのみち」、TISTIOU「花の文」他、花の教室や座で講師を務める。

3.11以降「めぐり花」という連句と花道の型を生かした共創の場を各地で開催。旧暦や風土に根ざした植物と人の紐帯をたぐる様々なワークショップをその場や季節のストーリーを取り込みながら展開している。

2020年、21年にはC0.山田うんのインスタレーションダンス”Body Garden”、”コスモス”、声明とダンスのコラボレーション”BRIDGE”にて舞台装花を担当。

花嫁の衣装をきっかけに、日本とヨーロッパの共通点を見る

今回見ていきたいのは、花嫁の衣装。日本の花嫁は白無垢を、ヨーロッパでもウェディングドレスと言えば白いものを着用します。

なぜ花嫁は白色の服を着て、結婚式を迎えるのでしょうか。そこから日本とヨーロッパをつなぐ共通点が見えてきます。

ヨーロッパにおいて6月は結婚や出産を司る女神Junoが守護する月です。そのため6月に結婚すると縁起がいいとされていました。

またヨーロッパの特に北の方は、冬が長くて太陽が出る日が少ないです。だからこそ太陽が出て日が長くなるこの頃は多くの人が街に繰り出します。そんな開放的な季節であることも、花嫁の季節に通じているのかもしれません。

では花嫁の着るウェディングドレスはなぜ「白」なのか。

白川静さんによると、白は日にさらされたしゃれこうべ。少し怖いですが、そこには浄化された聖性があるといいます。そしてこの白色には「擬死再生」の意味が込められているとのこと。お嫁さんが新しい家に嫁ぐ際に、新しく生まれ変わるということです。

日本とヨーロッパは遠い存在に感じるかもしれませんが、実は繋がっている部分がある。特に冬至や夏至など、季節のイベントにはモチーフを含めて多くの共通点があると言います。

例えばヨーロッパの五月祭ではメイポールという木を立てて、その周りを回りながら、一晩中火をたきます。メイポールを立てるという意味で垂直的なところがありますが、日本はこれを水平にしたもの。夏越の祓えで茅の輪をくぐるのも意味合い的には同じだということです。

またブーケにもさまざまな意味や、願いが込められているとのこと。今回は生徒の皆さんにジューンブライドにあわせて、白と緑色の植物でブーケを作っていただきました。

白は聖性、緑は生命のはじまりの色。詩人のゲーテや、染織家として有名な志村ふくみさんの言葉を引ひながら、「みどり」の持つ力について解説もありました。

花材は緑と白がメインで、以下の8種類を使用します。

  • 緑:マテバシイ、タラヨウ、赤樫(アカガシ)、椿
  • 白:芍薬、紫陽花、アワモリショウマ、下野草

ブーケを組むコツや、ラッピングのコツなどのレクチャーがあったのち、皆さん思い思いに花束を作っていらっしゃいました。

リンク:
赤阪氷川神社はなのみち公式サイト
有限会社温室公式サイト