イベントレポート

2023.03.04 花の座 さんさ座 伝芭『雛まつり〜桃(紅白)、辛夷、椿、菜の花』【レポート】

3月4日に開催された花の座 伝芭 さんさ座。

ひなまつりの原型を探る

ひな祭りの原型には、流し雛と言う人形に汚れを移して流す行事が残っています。沖縄などにも「浜降り(ハマウリ)」があり、この時期には身を清め、春の訪れを祝う行事があったようです。

また野山に出て人形とともにご飯を食べるひいな遊びと言うこともしました。これは昔からの神様と遊ぶ行事です。もう少し近く江戸時代になると、今と同じ形式の雛飾りが登場しました。

『さ』の感覚

この雛人形という小さなものを愛でるところには、我々日本人が大事にしてきた「さ」の感覚があるといいます。

この言葉は始まりや兆しと言うもの、「ささやか」と言うように小さなものを意味し、桜の「さ」も同じ「さ」の感覚と言えるでしょう。

そしてエネルギーが満ちて裂ける感覚で「咲く」でもあります。

私たちは昔から寒い冬を乗り越えて咲く花、いや出てくる目に生命の力強さと聖性を感じていたのだと思います。

このひな祭りの時期に1番大切な植物は桃です。

桃は桃太郎が有名ですが、他にも桃源郷やイザナギノミコトが黄泉平坂で投げた桃なども有名です。

桃というのは、お産とつながりが深いほか、その花は若さの象徴や富をもたらすと言うイメージがついていました。

菜の花

また、春に咲く菜の花については、夏目漱石の『草枕』をもとに、『漱石と植物』(古川久著、八坂書房)と言う書物をひもときながら見ていきました。

花活け

花活けはめぐり花の形式で、真ん中におかれた3つの花器に生徒さんが順番にいけました。

この花器は菱餅と同じピンク、白、緑の3色です。

最後の講座となりましたが、1年間を通して皆さんの花活けへの向き合い方というのがそれぞれできてきたのかなあと思います。

月日がひとまわりしたことを記念して

最後には講師の塚田有一が作った花の杖をプレゼントしました。

以下講師のコメント

リトアニア独立記念日の時に旗の色を基調としたこうした花束が街中にあって、調べるとシュロの日曜日が起源とあり、ヤシやシュロノキのないリトアニアでは身近なハーブなどで作ったとあり、そうしたことなら日本のお正月の削り花などと考え方も近く、これは春を呼ぶ魔法の杖なのだろうと思った。日本でも杖状の飾りはあるが、春を呼ぶ節分をすぎ、ひな祭りとイースターの共通点はとても多い。こうした飾りは日本でも受け入れられると思う。

講師直筆の不思議で、かわいいキャラクターのイラストも一緒に。

皆さん、キャラクターが違ったので、それぞれ交換しながら見せ合いっこしていたのがとても印象的でした。

赤坂氷川神社の教室と違い、人数が少ないからこそ参加者の方が密にコミュニケーションをとれた花の座 さんさ座 伝芭。次の季節にはどんなメンバーで花を巡るのでしょうか。