イベントレポート

はなのみち 第6回 菊水 【レポート】

2023年9月7日 木曜日

今回の赤坂氷川神社花活け教室はなのみちは
「菊水」というテーマです。

あらためて
「お盆」という行事についてと、

9月9日に控えた「重陽の節供」に関して
そのシンボルである「菊」にまつわる話がありました。

「お盆」〜失われた「笑い」の力

話は8月末、旧暦のお盆に
沖縄にエイサーを見に行ったことから始まります。

沖縄の浜比嘉島という場所で行われるエイサーは、
ノロの家で始まりの踊り「ヌンドゥンチ』のあと、
小さなグループに分かれて、
島の全ての家を回ります。

各家では縁側でエイサーを待っており、
庭でエイサーが披露されました。
踊り手たちにはビールや簡単なおつまみ、
時にはお寿司などを振る舞います。

このエイサーはみんなで踊り、
笑顔があり明るいのに対して、
私たちの想像するお盆という行事は
祖霊をお迎えするしめやかな行事です。

近代では敗戦の季節でもあることから
特に笑うことはタブーになっていった感じもします。

柳田國男はお盆から
咲(わら)いがなくなってしまったと
指摘しています。

注意すべきは柳田國男は
「笑」ではなく「咲」という
漢字をあてていることです。

戦前の日本ではもっと死者と生者が入り混じり、
生者が死者の役割をし、
死者が生者と交わることで、
この世ならざるところから
力をいただく行事でした。
ハロウィンにとてもよく似ています。

講師の実家では、お盆といえば一族が集まり、
厳かでしめやかなものである一方、
お参りの後は賑やかに様々なことを
語り合う宴でもありました。

笑うことがハレの場ではとても大切で
笑うことがお祓いでもありました。

笑う門には福来るとはよくいったものです。
わたしたちも日々の生活の中で、
笑うことを忘れがちになります。

笑って生活の中で体についた穢れを落とすような、
そういった季節の節目の大事な行事として
お節供や祭りは存在しているのです。

長命と健康を願う「菊」のお話し

重陽の節供は最大陽数の
九が重なる重要な日です。

また九が重なると書いて「重九」と書きますが、
これは「長久」にも繋がり
縁起がいいとされています。

また重陽の節供では「菊」が
重要な役割を果たします。

なぜ「菊」なのか、それを知るために
『枕慈童(あるいは菊慈童)』という
中国の逸話を元にした謡曲を見ていきましょう。

話の始まりは王に寵愛された童が、
枕を跨いだことで追放されることから始まります。

王は追放するにしても、寵愛した童。
きっと哀れんだのでしょう。
童に4句の偈(仏教詩)を枕に書いて与えました。

童はこの偈を菊の葉に書き、
その葉に降りた露を飲んで
700年以上も生きながらえたとか。

このお話のように菊には霊的な
力が宿っていると考えられていました。

今でも菊の名前を冠した「お酒」は多いですね。
タイトルの「菊水」とは「酒」を意味する言葉でもあります。
重陽の節供では「菊酒」、「着せ綿」や「菊枕」などの風習が残っています。

また日本で初めての重陽の節供の宴は
685年に開催されており、
その長い歴史が伺えます。

当時は天皇が臣下に菊酒を振る舞い、
邪気を祓い、長寿を願ったそうです。

今回は神聖な菊をベースに、
皆さんでめぐり花をしていただきます。

めぐり花のお稽古

今回のお菓子は袖ヶ浦最中で、
塩瀬総本家さんという和菓子屋さんが
100年前ほどに考案したもの。

最中と中の餡が分かれて包装されており、
パリパリの最中の食感を楽しめます。

粒あんとこしあんがあったので、
あんの種類によってチームを分けて
めぐり花をしました。

https://www.shiose.co.jp/products/sodegauramonaka-6

余談になりますが、
実はこの最中の名前をつけたのは
九代目市川團十郎という方です。

この方は偶然にも赤坂氷川神社に縁のある方で、
江戸型山車の人形の一つである『猩々』は
当時絶世の人気を誇った市川團十郎が
猩々の面を被る姿を模ったもので、
この『猩々』も秋の夜長にお酒を飲み交わし、
菊酒の薬効によって不老長寿になること、
富貴の身となることを喜び願うお話でした。

赤坂氷川神社には九代目市川團十郎の書
『猩々』の詞章にちなんだ
「老せぬや/薬乃名をも菊の水/盃そろひて友に逢そうれしき」
と書かれた絵馬が残っているということです。

https://www.minato-rekishi.com/museum/2009/10/83.html

今回のテーマは「菊水」だったので、
偶然の一致でした。

それぞれのチームは最初は戸惑っていましたが、
菊を軸にしながら、いけていくうちに
だんだんとコツが掴めてきた様子。

口の大きな花瓶でしたので、
花留めを上手に使えるように、
指導がありました。

花が花器にいけられていくほど、
生徒さんの迷いも晴れていくように見えました。

菊が軸となり、美しい花が
出来上がりました。

次回は10月4日(水)「月光」
花活け稽古です。

「月光」をテーマに
どのような話があるのでしょうか。