イベントレポート

2023/02/04 花の座 伝芭 さんさ座【レポート】

「春は名のみの~山茱萸(サンシュユ)、連翹空木(イタチグサ)、満作(マンサク)、黒文字(クロモジ)、水仙(スイセン)~」

「春は名のみの」というタイトルの由来は、立春と呼ばれているけれど、まだまだ寒いという意味を込めている。立春は農事暦の年のはじめであり、新年。24節気72候の最初。

立春の初候は「東風解凍」。東の風が氷を溶かす。風がやってくる方角、東。その果てには蓬莱山(ホウライサン)という仙人の住む島があるとされていたそうだ。

古代の人は〈日が昇る東海の果てにある蓬莱山に肖って不老長寿を〉願い、始皇帝が不老不死の薬を求めて徐福(ジョフク)を送り込んだのも蓬莱山だったと言われている。

講義:旧暦における節分・オニの変遷・来訪神

立春正月とするなら、節分は大晦日にあたる。つまり「鬼はそと、福はうち」の豆まきをやって、恵方に向かって無言で恵方巻きを食べる日(といっても恵方巻きの文化は割と短いし、毎年たくさん廃棄されるのはどうかと思う)。

豆まきでなぜ豆をまくのか。別に米を投げても良いような気がする。だが「まめ」なのだ。豆には「まめまめしく働く」というような意味以外にも、「まめ」は丈夫な心身であることという意味もあるとのこと。豆をまく人々の健康も願うのが豆まきだ。

さて豆まきで追い払われるのは鬼だが、「鬼は外」と言われているこの鬼とはなんなのか?

元来、日本における鬼は「大人(オニ)」と書かれ、山に住む人々を指しているそうだ。正月に立てる門松はもともと山に住んでいるオニをよんで家に迎え入れるためのもの、節分のまめは山に帰って行くオニに献上するものだそう。いまでもナマハゲなどをマレビトとして扱う地域も残っている。

そう考えると、鬼は追い払われるものではなかったようだ。むしろ招き入れる来訪神である。ではなぜ今のような形になったのか。どうやら、死者の怨霊としての「鬼(キ)」が中国から入ってきて、今の認識に近づいた歴史があるようだ。

お稽古:健やかな新年を願って花を行ける

花の座 伝芭 さんさ座では毎回全員で花をいける。今回は2組にわかれて、それぞれ3人、4人で一つの花器に順番にいけていく『めぐり花』の形式をとった。

※めぐり花とは

「花綵列島」と呼ばれるこの国の、細やかで深々とダイナミックに移ろう自然の息吹を、その土地で切り取って、活けてゆく。

集った人々と、手に手に花を取って、連歌のように巡って活ける。いつしかそこに、ユートピックなめぐみとしての風景が立ち上がる。「めぐり花」は「花の連句」です。歌うようにみんなで一つの花野世を。

今回使われているお花

山茱萸(サンシュユ)、連翹空木(イタチグサ)、満作(マンサク)、黒文字(クロモジ)、水仙(スイセン)

お稽古は2つのグループにわけて、それぞれの花器にいけていく。だんだんと出来上がっていく花。黄色い花が多いので、場所を提供していただいているサンサ(sansa)さんのコンクリート色の壁によく映える。

https://3sa.jp/

春の花は冬の間エネルギーをためている。だからこそ力強い。

花活けに際してセレクトしていただいた音楽はDAIGO HANADAさんのSATORI。

Satori https://g.co/kgs/YsSTmx

バーテーブルの方では広がりを引き締める方向で修正。Before、After。

節分を経て、新しい年へ。

主催:有限会社 温室 代表 塚田有一

場所:サンサ(sansa)https://3sa.jp/