夏の音を見つけた。
今朝は低気圧のせいか、睡眠不足のせいだろうか。
頭が鈍く、重く、気持ちが悪かった。
自分のやらなくてはいけないこと。終わらせなくてはいけないことがたくさんあって、押しつぶされそうな気分になっていた。
自分が何もできていないという間隔に急に飲み込まれそうになったときに、
<コーヒーを淹れることにした>
コーヒーをいれる時間は最高の時間の一つだ。
コーヒーの豆をミルで挽き、フィルターに粉末状になったコーヒー豆を入れる。
お湯をソロソロと丁寧に入れていく。
ぽた、ぽたと少しづつ抽出されたコーヒーがグラスに落ちていく。
気怠げにコーヒーを淹れ終わるの待った。
最近蒸し暑くて、冷房をつけないと朝も夜もやってられない。
このジメジメとした暑さが日本の良さなのだけれど。
今日はジメジメに耐えられなくて、自然と冷凍庫に入っている氷に手が伸びた。
グラスに入った熱々のコーヒーに氷を落とす。
その瞬間だった。
暑いコーヒーに落ちた氷は、急激な温度差で<キュゥゥッ>と音を出したあとに、<シュワシュワ>と溶け始めた。
その瞬間に私は
<夏の音を見つけた>
突然頭の中に川で魚と一緒に泳ぐ光景や、縁側でスイカを食べる景色、花火、夏祭りといった多くの存在しない記憶が蘇った。
自分が経験したことのない「夏」の記憶。
経験したこともないことを思い出すというのはおかしな表現かもしれない。
でも本当になかった「夏」を思い出した。
そして<今日も生きていける>と強く思った。


















