日々のこと

花いけ教室「はなのみち」第三回<花嫁 しろとみどりと>

先日は赤坂氷川神社で行われている花いけ教室「はなのみち」に参加してきました。

第三回のテーマは「花嫁 しろとみどりと」

6月はジューンブライドといって結婚式の多い季節です。

結婚式に花嫁が持つものといえば、ウェディングブーケです。
最近ではカラフルな色合いの場合も多いかもしれませんが、基本的には「白」と「緑」が基本です。

ではなぜ、「しろとみどりと」なのでしょうか。

「しろと」

白川静さんという漢字を研究した学者さんがいます。彼によると「白」という漢字は、太陽にさらされた骸骨の形とされています。

「白」は「死」と関係があるようですね。

白色というのは自然界にない色だそうです。汚れやすく、純白なままでいることが難しい。

だからこそ、高貴で神聖な色とされてきました。

「みどりと」

詩人のゲーテが「みどり」のことを<光と闇が出会った瞬間の色>というふうに語っています。

また生まれたての赤ん坊のことを「みどり児」ともいいますね。

つまり「みどり「色というのは光と闇、生と死の間の瞬間の色なのです。

志村ふくみさんという染色の方は、自然界に「みどり」色はないといいます。
しかし、一瞬だけ緑色が現れる瞬間がある。それは藍染で、染めた布を藍から取り出す瞬間だそうです。

「しろとみどりと」

結婚式で花嫁は純白のドレスを身にまといます。
「白」を身にまとうことで、一度仮に「死」ぬのです。

そして生と死の境目から戻ってくる瞬間に「みどり」色に輝きます。

結婚するということは今までの家族とは違う、新しいカタチになるということです。
だからこそ、以前の私は一度「死」に、そして新たな姿で蘇る。

ウェディングドレスが白であり、ウェディングブーケに「しろとみどりと」が使われているのにはそのような意味があるのです。

「しろとみどりと花束と」

ウェディングブーケの説明のあとに、実際に自分の手でブーケを作ります。

花を組み上げてブーケを作るという作業は、花瓶という型がなく、自由に作れる部分難しい。

また片手で花束を持ちながら組み立てるので、必然的に花をいけるときには片手しか使えません。

思うように行かないもどかしさを感じながら、世界をそこに組み合げていきます。

花束は誰のためにいけるのでしょうか。

少なくとも花束を人にもらうと、自然と笑顔になります。

古来行われていた「草摘み」で積まれている「草」は「薬草」だったといいます。
自分以外の誰かの、恋人の、家族の健康を祈って植物を集める。

そう考えると、「花束」も誰か親しい人を思って、組み上げるものです。

仏教では「生死」という言葉があります。頭の中でぐるぐる考えて悩んだりするときには「生死」にとらわれている状態です。その凝り固まった「生死」を解(ほど)いて、ほとばしらせる、そして施(ほどこ)す。

花束を組み上げ、誰かに渡すことも同様です。

いちど死んで、生き返って、その瞬間に輝く。
それを花束にとどめて、届ける、施(ほどこ)す。

「しろとみどりと」のブーケにはそんな思いが込められていそうです。