Column

【感想】上野で開催されているミイラ展に行ってきた

今日はミイラ展に行ってきた。

東京上野で開催されている。

ミイラには不思議な魅力がある。死者が目の前に現れるのだ。それも数千年前の死者が。蘇ると信じられてミイラ化されたのだとしたらあまりにも長い期間眠ったままになる。

きっとミイラになった当時の人々は東京の上野という土地でガラスケースに入れられて何千、何万という人の好奇の目にさらされるとは考えもしなかっただろう。

ミイラといっても世界各地にさまざまな種類のミイラが存在している。

エジプトのミイラが一番有名でイメージも強いが、ヨーロッパやアメリカ大陸、日本にもじつは存在している。

そして気候や風土がミイラには大きく影響している。

ミイラには「人工的」なミイラと、「自然」にミイラとなったものがある。

前者はエジプトのように、内臓を取り出したりして作り出されたミイラだ。そして、「自然に」なったミイラとしてはボグランドという湿地の中で環境条件が整いミイラ化したものがある。

以前アイルランドという国に行った時、そこでボグランドから発見されたミイラの展示を見た。エジプトのミイラは乾燥しており、骨と皮だけになっている印象だ。

ボグランドのミイラは皮膚がなめされて圧縮された感じだ。テカテカに生っぽい光を放っている。

皮膚や表情までしっかりと判別できるようなミイラはなかなか忘れられない。そのボグランドからきたミイラも展示されている。

宗教的な死生観も影響しているのがわかる。エジプトなどは死者の魂がその肉体に戻ってきて復活すると思っている。しかし、輪廻転生の思考を持つ人たちにとってはその死体を保存しておくことにあまり意味はない。湿気などの環境からミイラかしにくかったこともあると思うが、その土地の人が人間の死や、祖先への想いをどのように考えているかがミイラに直接現れている。

日本にもミイラが複数存在する。特に興味をひいたのは本草学者のミイラだ。

この学者は自主的にミイラになろうとして、成功したらしい。なぜ自分がミイラになろうと思ったのかわからないが、解説文には最後は柿の種(スナックではない)を食べていたのがわかっているらしい。

なぜ柿の種なんか食べてたんだろうときになったので少し調べてみたところ、ミイラになるには脂肪や筋肉を可能な限り減らしてガリガリになってから死ななくてはいけないらしい。生まれながらガリガリで水分が少ない、ほとんどミイラのような状態になってから死に至る必要があるらしい。

この学者も最後は柿の種だけを食べて、命を繋いでいたのだろう。

この手法は本草学者だけでなく、他の即身仏にも言えるらしい。今回の展示にも即身仏が展示されていた。

最も印象に残ったのが、肖像頭蓋骨というものだ。

これは死者の頭蓋骨を取り出し、それに粘度などをしようして肉付け、そして生きていた時の顔を再現したというものだ。顔を再現するとき、目には貝を、そしてさまざまな模様が施されている。

この文化はヨーロッパの文化が流入した時に野蛮として禁じられたそうだ。

そして禁じられたのちに、木製の仮面でどうようのものが作られている。

しかし、仮面ではなく、本当に人間の頭部を使ったものは神様に近いような力を持っていた。

見ているだけで、その凄まじさをひしひしと感じるような。

古代の人々がどのような願いを込めて、死者を保存しようとしたのか。

その思いがどうであるにせよ、朽ちずに何千年もの時を経て、2019年の年末に私の前にあるというのはとても不思議な感じがした。結局人は死んだら骨と皮ばかりしか残らないんだなと思うと、ちょっと窮屈な都会の視界が広がった気がした。

概要(詳しくは公式HPをご確認ください)

会期 2019年11月2日(土)〜2020年2月24日(月・休)
会場 国立科学博物館(東京・上野公園)
開館時間 午前9時〜午後5時(金曜・土曜は午後8時まで)
11月3日(日・祝)午後8時まで
11月4日(月・休)午後6時まで
※入場は各閉館時刻の30分前まで
休館日 月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)
および12月28日(土)〜1月1日(水・祝)ただし2月17日(月)は開館
※開館時間や休館日等は変更になる場合がある