日々のこと

「哲学マップ」とユダヤ人の歴史を並べてみる

今日は久しぶりに仕事がお休みの日でした。仕事が休みだと今までできなかったことがたくさんできる気になって、いつもよりもあれこれと予定を詰め込みがちです。

読みきれなかったたくさんの本や、観たかった映画、描きたかった言葉などたくさん思いつきます。しかし思いの他に1日は短くて今日もほんの少ししか進みませんでした。それでも一歩一歩進んでいるのでまあ大丈夫でしょう。

いつもお世話になっている私塾で課題図書がでていました。それは『哲学マップ』(貫成人)という本です。西洋のヨーロッパを概観し、この後の勉強の指針になるまさに「地図(マップ)」のような本でした。この本を参考に、自分の研究テーマについてのマップを作ってみようという課題でとしてありました。私のテーマは「ユダヤ問題」なので、「ユダヤ人の歴史」と「哲学の歴史」を並べてみようと思いました。

まず「哲学マップ」に出てくる哲学者と、ユダヤ関連の重大な出来事を並べていくと、もうひとつ「世界史上の出来事」も並行して記述する必要性に気づきました。

哲学もユダヤ問題も大きくは世間の情勢、「世界史」に大きく影響されているからです。

束の間の市民権回復:ユダヤ

もう1つ気づいたのが17世紀までユダヤ人は基本的に差別されてきたという歴史です。4世紀のニケーア公会議でキリスト教が反ユダヤ教へと舵を切り、14世紀にはペストという恐ろしい病気の根源として大量に虐殺が行われたりしてきました。

ユダヤに対する宥和政策が取られ始めたのは17世紀ごろからです。フランスではユダヤ人に市民権が与えられ、イタリアでは差別を撤廃する法案が成立しました。

この頃は世界史的にみるとイギリスで名誉革命が起き、フランスではフランス革命が起きた頃に相当します。

名誉革命では、国王の権利が制限され、イギリスの議会政治のベースが作られました。フランス革命でも王政が民衆の力で覆されました。権力が王から民衆へと移っていく時期だったとも言えます。

またこの時期は多くの高名な哲学者が排出された時期でもあります。17世紀にはデカルトという哲学史の中の重大人物が登場します。イギリス経験論、大陸合理論が対立し、『純粋理性批判』で有名なカントがイギリス経験論と大陸合理論を調停するという流れがあるのですが、ここでは詳しく書きません。

この時期にユダヤの人権はヨーロッパ各地で認められるようになっていきました。人類の歴史上長きにわたり差別を受けるなどしてきた彼らが権利を認められ始めたかに見えましたが、その時代は長く続きませんでした。

第一次世界大戦後にナチスドイツが政権を握り、1935年にニュルンベルク・法案が可決。ユダヤの市民権が剥奪され、ホロコースト(ユダヤ人虐殺)へと向かっていきます。

ユダヤ哲学者の世紀

ちなみにもう1つ気づいたのが、19世紀以降の高名な哲学者の中にはユダヤが非常に多いということです。19世紀末のマルクス、20世紀にフロイトが、そして大戦を経て、フッサールやハイデガー(ハンナ・アーレントと恋愛関係にあったらしい)、レヴィ=ストロースやデリダなどもユダヤ人です。

かれらが大戦の中で「自分とはなにか」というアイデンティティを揺さぶられたりしたことが影響するのでしょうか。この時期に多くのユダヤ系哲学者が現れたのは不思議です。

今まで自分が勉強したことをブログに書くことはしてこなかったのですが、経過報告的な意味もこめて、勉強内容も発信していければと思います。

参考資料:
『哲学マップ』(貫成人 著)
『ユダヤ学のすべて』(沼野充義 編)