こんにちは。しんちいです。
明日で会期が終了してしまうジョン・ルーリー展に行ってきました。
概要
『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984)や『ダイン・バイ・ロー』(1986)など、ジム・ジャームッシュ監督の映画で俳優としても出演したジョン・ルーリーの絵画が展示された。
ワタリウム美術館では9年前にも個展を開いています。
彼は俳優、画家だけでなく、音楽家としても才能を発揮。
彼の描く絵は皮肉とユーモアに満ち、それでいて美しい筆致で世界が描かれていました。
ジョン・ルーリー絵画について
彼の絵は幻想的だ。人の形や、色彩や配置など全てが独特である。それでいて、時に圧倒的なリアルさを感じます。
自分をおおいに現実に引き戻すのが彼の言葉。
例えば下の作品。
絵だけをみると鳥みたいなものがたくさん並んでいるだけに見える。というか鳥なのか。
それでも色彩や絵の構図、などなど非常に魅力的です。
実はこの作品のタイトルは……
なんかこのタイトル、ものすごいショックを受けました。
「魂のない鳥もいて、そいつらはなにかしようとする鳥の邪魔ばかり」
先日読んだ「マイケルジャクソンの思想」の中の「ジャム」と非常に近いものを感じました。
「魂のない鳥」というのが自分の判断基準をなくして、不安にさいなまれる鳥です。
ツイッターの炎上とまでは行かなくても、ひどいコメントがたくさん流れている現状をみると「魂のない鳥」が「なにかしようとする鳥の邪魔ばかり」という感じです。
これはツイッターだけでなくて現実でもそうです。
なにかをやろうと思うと、「それは無理だよ」とか「もっと現実をみなよ」なんて言ってくる鳥がたくさんいます。
面白いことにこれは自分の脳内の会話のような気もします。
自分の脳内にはたくさんの鳥がいて、そのうちの何匹かは「なにかしたい!」と積極的な鳥です。でも、安定を選ぶような魂のない鳥の声も強くて、葛藤が起こります。
現実世界でも、自分の中でも
どこにでも「なにかしようとする鳥」と、「魂のない鳥」の葛藤があります。
チャップリンという方の映画に『モダンタイムス』という作ひながります。この中で機械の歯車の一部として、なにも考えずに動く人間の姿が描かれます。機械化の時代の人間を笑いとともに描いた作品です。
井上ひさしさんのいうところの「難しいことを、面白く」です。
この歯車のような状態から抜け出して、自分なりの思考を持ち始めると歯車はスムーズに回らなくなる。でもその歯車に抗う状態こそが魂のある人間であり、マイケルジャクソンのいう「ジャム」した状態であり、ジョン・ルーリーの「なにかしようとする鳥」なのです。
美しくあまりにも現実ものない絵に、タイトルが急にものすごい現実を押し付けてきます。そのあアンバランスなようでいて、調和のとれた風に思えるところが彼の絵のすごいところの一つでしょう。
こちらの作品もそうですね。
ジョン・ルーリー展 明日(2019年7月7日)まで
明日は日曜日、そして七夕の日です。
七夕は織姫と彦星が出会い、そして短冊に願い事を書く日でもあります。
詩と絵画と、音楽と、ジョン・ルーリー氏の芸術に触れて、短冊に言葉を紡いではいかがでしょうか。
ワタリウム美術館
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3-7-6 Jingumae,Shibuya-ky,Tokyo
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