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【クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime】死後の世界を想起させる:見た人が何かを深く考える空間

こんにちは。しんいちです。

先日はボルタンスキー展をみてきました。

ボルタンスキーとは(Wikipediaより)

1944年にナチス占領下のパリで生まれる。父親は改宗ユダヤ人であったため、フランス人の母親と離婚して家を出て行ったように偽装し、家の床下に隠れ住んでいた。終戦後母親やその友人から聞かされた強制収容所の話を含むこれらの経験がボルタンスキーのトラウマとなり、後年の作品制作に影響することとなる。

1972年にはハラルド・ゼーマンに招待されカッセルのドクメンタに出品、以降現在まで数々の国際展に定期的に参加している。

ボルタンスキー展<感想>

心臓の鼓動のような音が室内にずっと続いています。

この展示の良いところは、壁に解説が書いていないことです。

通常美術館に行くと、作品の横にタイトル、製作年代、解説が載っています。

しかし、本展覧会ではそれがない。

私はボルタンスキーをホロコーストをテーマにしたアーティストだと思っていました。

しかし、今回わかったのは、彼のテーマがより広範に渡るということです。つまり<生と死>と、<人間存在の意味>を取り扱っています。

モニュメント

1985年に開始した「モニュメント」シリーズはボルタンスキーの代表作として挙げられる作品である。電球と金属のフレームで囲われた子供たちの白黒の顔写真が、祭壇のように配される形態は、彼の作品の一種のアイコンとなる。

この作品はテーマとして「ホロコースト」、ナチスドイツによるユダヤ人虐殺をテーマにしたと言われています。ブリキの箱が積み上げられた上に、黒いフレームで額装され白黒の写真。写真は子供の白黒の顔です。こちらを見つめてくる目線、ぼやけた白黒写真、まるでイコンのような、遺影のような。

山積みの犠牲者

下の写真の奥に見えるのは、山積みの服です。

私の背の2倍はあるかと言うほどの高さまで積み上げられています。

私はホロコーストで最も有名なアウシュヴィッツに3回行っています。

ここには、殺害されたユダヤ人の靴、日用品、髪の毛が山積みになっています。

膨大な量の毛髪が、10畳ほどの部屋に山のように積まれているのをみると、

その犠牲者の多さに気が付きます。

おそらく此の服が山のようになっている作品は、アウシュヴィッツの靴や髪の毛をモチーフにしています。

この部屋には歩こうとする人の頭がランプになっている作品もありました。

コートを着て、まさに歩みを進めている形で静止したものです。

この作品は部屋にいたるところに配置されているのですが、こちらからは音声が流れます。

tell me who did you leave behind

tell me did you suffer

日本語では、

「ねえ、あなたは誰をおいていったの?」

「ねえ、あなたは傷ついた?」

という意味になります。

裸電球の持つ暖かさと薄暗さ

ボルタンスキーの作品には裸電球がたくさん使われています。

彼が幼い頃で地下室で怯えながら過ごした記憶からでしょうか。

私はそういう経験をしていないので、もともとは裸電球に温かいイメージをもっていました。家族で裸電球の下で、食卓を囲むような。

しかし、彼の作品で使われると、暖かさも感じるのですが、それよりも陰鬱とした息苦しさも感じます。

電球がたくさんつながっている作品がありました。

一つの根本からたくさんの電球が広がっています。

光がついているものと、光が消えているものがある。

わたしは、まるで人の生のように、輪廻転生していく生命のように感じました。

ちょうど松葉舎で「輪廻転生」について学んでいるからかもしれません。

彼のこの電球は、仏教的な、輪廻転生だと思います。

電球が振り子のように揺れる、その両脇に壁一面、服がかけてある。

来世にはどんな服を着ようか?(誰になる?)

人間は死んで、そして次の生を得るのでしょうか。

以下はボルタンスキー氏のインタビューの中から言葉を抜粋しつつ、作品を考えていきます。

ボルタンスキー<インタビュー>

アニミタスについて

<アニミタス>というのは上記の写真の作品のことです。

世界で4箇所設営(アタカマ砂漠、死海、ケベックの雪の中、豊島)された作品ですが、現存しているのは豊島のものだけだそうです。

《アニミタス(ささやきの森)》と《心臓音のアーカイブ》が、巡礼地のような存在になることを望んでいます。

戦う世界を終え、他の場所ーー死後の別世界にいるような感じです。ただのフィルムではなくインスタレーションであり、ただその前に立つだけでなく、中に入っていただく。それが私の考えです。

ボルタンスキーは<モニュメント>と言う作品で、ホロコーストという虐殺の歴史を扱った後の、その先に向かっています。それは、死後に平穏になった場所、そう願われた場所です。

ミステリオスについて

こちらは写真の真ん中の作品です、少し遠くて観にくいかもしれません。

インタビューで以下のように語っています。

《ミステリオス》はパタゴニアで撮影したもので、そこの先住民にとってクジラは「時の始まり」を知っている動物です。大きな筒状のトランペットのような装置をつくり、そこを風が通ると「クジラの言葉」が語られるーーそれはもちろんフィクションですが、クジラに問いかけようとしているのです。「なぜ我々はここにいるのか」と。

「新しい教会としての美術館」

ボルタンスキー氏にとってアートとは何なのでしょうか?彼はアートとは、人々に何かを考えさせるところだと言います。

「なぜ我々はここにいるのか」「犠牲者は何を思うのか」「社会で軽視される自身の心の豊かさとはなんなのか」

彼の作品を見ることで、多くのことを考えさせられます。しかも、日常では考えられなくなってしまいがちな、根源的で本質的な問です。

ボルタンスキー氏はインタビューの中で、美術館は「新しい教会」だと言います。教会は信仰を持つ持たないに限らず、なにか敬虔な思いを感じさせます。そして自身の内面を探る場所こそ、取り戻す場所こそが美術館なのです。

このような場所には意味がある。美術館というものは、「新しい教会」なのだと思います。教会は考察する場所であり、美術館もそれに似ています。現在の権力者は教会こそ建てませんが、代わりに美術館を建てるようになりましたね。そのような場所は、社会に必要な場所なのです。自分の内面的な精神を取り戻し、(精神の)「泉」から何かを取り出すために必要な場所です。

クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime

会期:2019年6月12日~9月2日

会場:国立新美術館 企画展示室2E

住所:東京都港区六本木7-22-2

電話番号:03-5777-8600

開館時間:10:00~18:00(6月の金土〜20:00、7・8月の金土〜21:00) ※入場は閉館の30分前まで

休館日:火

料金:一般 1600円 / 大学生 1200円 / 高校生 800円 / 中学生以下無料

参照元

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC

https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/19974

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